世の中の大きな流れを意識する〜日本の人口問題

2021年9月19日

ご興味を持っていただきありがとうございます。孤高のファイナンシャルプランナーX(エックス)です。
今回のお題は「世の中の大きな流れを意識する」です。以前、別の記事では、資産運用の世界で「予想をしない」という私見をお伝えしました。

先日、読者の方から、「Xさん、先日の記事を読んで、目先の予想に一喜一憂せずに済むようになりました。でもそうは言ってもただ闇雲に行動していくのも不安なので、何か目安になるようなアイデアはありませんか?」というご質問をいただきました。

質問をいただいて、私も「確かにそうだな」と思いましたので、今回はひとつのヒントとして、このようなテーマにしてみました。

予想はしないけど、流れは意識する

先日の記事では、「予想しない」と言っていたのに、流れは意識しろって、一体どっちやねん!(なぜか急に関西弁)という声も聞こえてきそうですが、私がお伝えしたいのは、あくまでも目先の予想に左右されないことは大前提で、その上で今の世の中はどんな方向に向かっているのかは意識してみませんか、という視点です。

世の中は絶えず大きな流れがあります。例えれば、私の人生も、あなたの人生も船に乗りながら大海原に漂っているようなものです。目的地に向かって船を進めるのに、さすがに大きな流れに逆らうのは労力の無駄かもしれません。
「急がば回れ」という言葉もあるように、最短距離を取るために真っ向から流れに逆らうのではなく、多少遠回りをしても、大きな流れを見極めながら目的地を目指したいものです。

日本の人口問題

今回は日本の人口問題を考えてみましょう。人口減少や少子高齢化問題、といった言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。一体日本の人口問題はどこがまずいのでしょうか?

1.人口減少の問題

2021年8月20日公表の総務省統計局の人口推計によれば、総人口は2021年8月1日現在で、前年同月に比べて51万人減少したそうです。

総務省統計局ホームページより
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html


総務省ホームパージより
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc111110.html

ただ51万人が減ったと聞くと多いのか少ないのかイメージしにくいかもしれませんが、50万人規模の市区町村で例えてみると、東京都江東区、栃木県宇都宮市、大阪府東大阪市、愛媛県松山市などが該当します。また都道府県規模で見ると、青森県、滋賀県、沖縄県などが人口約150万人前後です。

総務省統計局ホームページより
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001049104&cycle=0&tclass1=000001049105&tclass2val=0



ちょっと極端な例えかもしれませんが、


日本から今年は江東区、来年には宇都宮市、再来年には東大阪市が消滅している、というイメージです。
都道府県で例えれば、3年後には青森県、6年後には滋賀県、9年後には沖縄県が次々と消滅している、というイメージです。
あくまでも人口減少のイメージなので、実際にいきなり都道府県や市区町村が消滅するわけではありませんが、それだけのペースで人口が減り続けているということです)

これはかなりのインパクトです。しかもこの先、出生率が大幅に改善しなければ、このペースが少なくとも2115年までは続くことが発表されています。

国立社会保障・人口問題研究所ホームページより
「日本の将来推計人口(平成29年推計)」
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_gaiyou.pdf
「平成29年推計報告書、3.長期参考推計結果表」
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_Report4.pdf

実際に将来消滅する可能性のある自治体のデータも発表されています。なかなかショッキングなデータです。

日本経済新聞 人口減少地図より
https://www.nikkei.com/edit/interactive/population2014/map.html

この先の出生率・死亡率の高位(楽観的)、低位(悲観的)、中位(その中間)の見通しでそれぞれデータがありますが、楽観的な見通しでさえ、将来の人口減少に歯止めがかかっていません。
さらに注目したいのは、上記資料のうちの、「3.長期参考推計結果表」です。こちらによれば、出生率・死亡率が中位の見通しで2100年には日本の総人口が6000万人になるとされています。(しかもこの中には「日本における外国人を含む」、と書いてあります!)
つまり、私たちの孫、ひ孫世代には日本の人口が現在より半分程度になってしまう可能性が高いということです。
そう考えると、思ったより近い将来だと思いませんか。
ちなみに、その間の世界の人口は2020年の約78億人から、2100年には約108億人に増える見通しです。

国連経済社会局ホームページより
https://population.un.org/wpp/DataQuery/

世界の人口が増えている中で、日本の人口が減るということは、相対的にはますます日本の人口減少が顕著になります。
上述のデータを参考にすると、2100年のそれぞれの見通しは世界人口が約108億人、日本の人口は約6000万人です。
ということは、2100年には日本の人口は世界人口の約0.55%になるということになります。


少々わかりにくい例えかもしれませんが、これを現代、2020年の世界人口約78億人に置き換えてみると、


約78億人の約0.55%=約4290万人


現代で人口が4290万人前後の国は、スーダン、アルジェリア、ウクライナあたりでしょうか。
イラクやカナダよりは多いけど、スペインやアルゼンチンより少ない、といった感覚です。
(ご興味があれば、他の国でも調べてみてください)


もちろん、経済力などは各国まちまちですし、日本と同じく人口が減っている国もあるので、一概に比較できませんが、あくまでも人口だけを比べると、未来の日本はそんな感覚の人口規模の国になっていく、ということが見えてきます。



個人的には、将来数十年後か数百年後かわかりませんが、「日本人」は絶滅危惧種になってしまうのではないかと思っています。



ここで大切なのは、日本の人口がいつの時点で何万人になるかは現時点では正確にはわからないけれども、世界の人口は増え続けている中で日本の人口が毎年確実に、それも結構なペースで減っている、ということだけはご理解ください。





2.人口構成の中身の問題(=少子高齢化)



続いての問題は、人口が減っていく中での人口構成の中身です。子供世代(0〜14歳)、働き手世代(15〜64歳)、高齢者世代(65歳以上)のバランスについてです。
上述の国立社会保障・人口問題研究所の資料をもとにすれば、2115年の見通し(出生率・死亡率とも中位)では、人口に対する構成比は子供が10.3%、働き手世代が51.3%、高齢者世代が38.4%となっています。
ということは、ただでさえ人口が減っているのに、そんな状況下で子供が減って高齢者が増えていく、ということになります。

国立人口問題・社会保障研究所ホームページより
http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/Pyramid_a.html

細かい分析は割愛しますが、例えば日本の年金制度は、「世代間の仕送り」が前提となっています。
つまり、現在我々が月々負担している年金保険料は、自分の将来のために積み立てられているものではなく、今の受給者世代に使われています。



早い話が、今後、費用負担する人はますます減って、もらう人はますます増えるということだけはご理解ください。




私としては、若い世代から迷惑がられる高齢者にはならないように準備しておきたいと思っています(笑)



人口問題一つ取ってみても、間違いなく日本は大きな変化を迎えています。




今までの常識を疑ってみる必要がありそうです。


今後どうすれば良いのか

それでは今後、私たちはどうすれば良いのでしょうか。
人口減少・少子高齢化対策や細かい分析は専門家にお任せするとしても、人口問題という大きな流れを意識するだけでもさまざまな視点から考える必要がありそうです。




日本人は、外国人の移民を積極的に受け入れるのかどうか
子供の教育は、本当に日本だけで完結していいのか、海外での教育も取り入れるのか
永住の地は日本のどこがいいのか、あるいは日本だけで選ぶのか
就職先は日本企業の中から選ぶのか
貯蓄は日本の金融機関だけで良いのか(=日本円だけで良いのか) 
       などなど・・・




もちろん、日本にも良いところや誇れるところは沢山あります。治安の良さや日本人の勤勉なところ、あるいは国土の美しさなど。私も日本に生まれて良かったと思っています。
ただ、大きな流れの中に漂っていることも忘れてはならないと思うのです。



あなたの考えはいかがですか?





俳人・松尾芭蕉の理念に、「不易流行(ふえきりゅうこう)」という考え方があるそうです。
「不易」とは「時代を超えて変わらないもの・本質的なこと」、「流行」とは「時代に応じて変わっていくもの」を表しているとのことです。
解釈は諸説あるようですが、私としては「変わらないものを大切にしながら、必要に応じて時代の変化に合わせていくバランスが大切」と解釈しています。





大切に守るもの、変化させていくもの、どちらもバランスを大事にしながら、生きていきたいものですね。




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今回も最後までお読みいただき、どうもありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。

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